第31回 介護福祉士国家試験

第31回(平成31年度)介護福祉士国家試験(125問)

31年の合格基準は72点以上(5捨択一)

<領域:人間と社会>

【人間の尊厳と自立】

問題1

Aさん(82 歳,女性,要介護 2 )は,夫を 7 年前に看取(みと)り,その後は一人暮らしをしている。夜中にトイレに行った時に転倒し,大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)を骨折(こっせつ)(fracture)して 3 か月入院した。自宅に手すりをつけ,段差をなくす住宅改修をした後,退院した。何かにつかまれば,いすからの立ち上がりや歩行ができる。人と関わるのは苦手なため自宅での生活が中心である。遠方に一人息子が住んでおり,月に 1 度は様子を見に帰ってくる。週 3 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)の買物代行や部屋の掃除などの生活援助を利用している。Aさんはできるだけ自分のことは自分で行い,このまま自宅での生活を継続したいと希望している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに,Aさんは一人暮らしを続けることが不安であると告げた。
Aさんに対する訪問介護員(ホームヘルパー)の応答として,最も適切なものを 1つ選びなさい。

問題2

『夜と霧』や『死と愛』の著作があるフランクル(Frankl, V.)が提唱した価値の説明として,適切なものを 1 つ選びなさい。

【人間関係とコミュニケーション】

問題3

Bさん(90 歳,男性)は,介護老人福祉施設に入所することになった。一人暮らしが長かったBさんは,入所当日,人と会話することに戸惑っている様子で,自分から話そうとはしなかった。介護福祉職は,Bさんとコミュニケーションをとるとき,一方的な働きかけにならないように,あいづちを打ちながらBさんの発話を引き出すように心がけた。
このときの介護福祉職の対応の意図に当てはまるものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

問題4

聴覚障害のある利用者と介護福祉職との間での筆談に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

【社会の理解】

問題 5

家族の機能に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 6

「地域共生社会」が目指すものとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 7 

特定非営利活動法人(NPO法人)に関する次の記述のうち,適切なものを
1 つ選びなさい。

問題 8

「育児・介護休業法」に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさ
い。

問題 9

Cさん(71 歳,女性,要介護 1 )は,軽度の認知症(dementia)がある。週1 回通所介護(デイサービス)を利用している。娘が離婚して,常勤で就労するようになり、孫を連れてCさん宅へ転入した。孫が保育所に入所できなかったため,Cさんが日中面倒を見ることになった。そのため,楽しみにしていた通所介護(デイサービス)の利用が困難になり困っているという相談が,指定通所介護事業所のD管理者(介護福祉士)にあった。
D管理者の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 10 

労働者災害補償保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

問題 11

2018 年(平成 30 年)に施行された介護保険制度の改正内容として,正しいものを 1 つ選びなさい。

問題 12

2018 年(平成 30 年)に施行された介護保険制度の利用者負担に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

問題 13

2016 年(平成 28 年)の「障害者総合支援法」の改正内容として,適切なものを 1 つ選びなさい。

(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

問題 14

障害者を支援する専門職の主たる業務に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 15

Eさん(75 歳)はU事業所の訪問介護(ホームヘルプサービス)とV事業所の通所介護(デイサービス)を利用している。Eさんは通所介護(デイサービス)の職員の対応に不満があり,苦情を申し出たいがどうすればよいかとU事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 16

社会福祉法人に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

<領域:介護>

【介護の基本】

問題 17

2012 年度(平成 24 年度)「高齢者の健康に関する意識調査結果」(内閣府)の介護を受けたい場所に関する次の選択肢のうち,最も多かったものを 1 つ選びなさい。

問題 18

社会福祉士及び介護福祉士法における介護福祉士の義務として,適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 19

茶道の師範だったFさん(87 歳,女性,要介護 3 )は,70 歳の時に夫を亡くし,それ以降は一人暮らしを続けていた。79 歳の頃,定期的に実家を訪ねていた長男が、物忘れが目立つようになった母親に気づいた。精神科を受診したところ,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。昨年から小規模多機能型居宅介護を利用しているが,最近は,宿泊サービスの利用が次第に多くなってきている。Fさんは来所しても寝ていることが多く,以前に比べると表情の乏しい時間が増えてきている。
介護福祉職がFさんの生活を支えるための介護として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 20

Gさん(68 歳,女性,要介護 2 )は,小学校の教員として定年まで働いた。
Gさんは, 3 年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。夫は既に亡くなっており,長男(30 歳)と一緒に暮らしている。週に 2 回通所介護(デイサービス)に通い,レクリエーションでは歌の伴奏をよくしている。その他の日は,近所の人や民生委員,小学校の教え子たちがGさん宅を訪問し,話し相手になっている。
最近,Gさんは食事をとることを忘れていたり,トイレの場所がわからず失敗したりすることが多くなった。
介護福祉職が,Gさんの現状をアセスメント(assessment)した内容と,ICF(International Classification of Functioning,Disability and Health:国際生活機能
分類)の構成要素の組合せとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 21

定期巡回・随時対応型訪問介護看護に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 22

防災に関する次の図記号が意味している内容として,正しいものを 1 つ選びなさい。

第30回介護福祉士問題22

問題 23

介護福祉職の職務上の倫理に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 24

施設の介護における安全の確保に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 25

介護老人福祉施設の感染対策に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 26

燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))の特徴として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

【コミュニケーション技術】

問題 27

利用者とのコミュニケーションにおいて逆転移が起きている事例に該当するものとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 28

介護福祉職が行う傾聴に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 29

Hさん(75 歳,男性)は,脳伷塞(cerebral infarction)を発症して入院し,後遺症として左片麻痺(ひだりかたまひ)が残った。退院後,介護老人保健施設に入所し,在宅復帰を目指してリハビリテーションに取り組んでいる。ある日,HさんはJ介護福祉職に,「リハビリを頑張っているけれど,なかなかうまくいかない。このままで自宅に戻れるようになるのか…」と暗い表情で話しかけてきた。
このときの,Hさんに対するJ介護福祉職の共感的な応答として,最も適切なも
のを 1 つ選びなさい。

次の事例を読んで,問題 30,問題 31 について答えなさい。

〔事 例〕
Kさん(75 歳,女性)は,小学校教諭を定年退職した後,しばらく趣味やボランティア活動を楽しんでいたが,認知症(dementia)を発症し,介護老人福祉施設に入
所した。見当識障害や記憶力低下がみられた。入所後,初めて息子夫婦が面会に来た。
Kさんは息子に向かって,「ここで,国語を教えているの」と嬉(うれ)しそうに語った。息子夫婦は面会を終えて,介護福祉職のところに相談したいとやって来た。困惑したような表情の息子から,「母が,学校で教えていると言った時,どうしたらよいでしょうか」と質問があった。

問題 30 このときの,息子に対する応答として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 31

Kさんの病状は進み,自分から話すことはほとんどなくなり,こちらの問いかけにも応えたり応えなかったり,という状況になった。
このようなKさんとコミュニケーションをとる方法として,最も適切なものを 1つ選びなさい。

問題 32

Lさん(30 歳,女性)は,パートタイムで仕事をしながら,自宅で母の介護をしてきた。ある日,母の訪問介護(ホームヘルプサービス)で訪れたM訪問介護員(ホームヘルパー)に対して,Lさんは,「寝ている間に頭の中に機械が埋め込まれて,行動を監視されている」と興奮気味に訴えた。
このときのM訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 33

叙述体を用いて介護記録を作成するときの留意点として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 34

介護福祉職が行う報告の留意点に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

【生活支援技術】

問題 35

下記のマークが表しているものとして,正しいものを 1 つ選びなさい。

第30回介護福祉士国家試験問題35

問題 36

Aさん(38 歳)は,共同生活援助(グループホーム)に入居している。料理が得意で,普段はエプロンを身に着けて揚げ物料理をガスコンロで作っている。
防火を意識した調理支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びな
さい。

問題 37

歩行が可能な脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)の高齢者の転倒予防に留意した環境整備に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 38

介護福祉職が行う身じたく・整容の支援と使用する道具の組合せとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 39

ベッド上で臥床(がしょう)したままの利用者に行う和式寝衣の交換の介護に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 40

入居施設で生活する利用者が車いすを使用して外出するときに,介護福祉職が計画,準備することとして,最も優先すべきものを 1 つ選びなさい。

問題 41

選択肢 1 から 5 の順で,ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの,利用者の動作と,介護福祉職の身体の使い方の組合せとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 42

Bさん(84 歳,男性)は,生活全般に介護を必要としている。ベッド上に仰臥位(ぎょうがい)でいるBさんは,喘息(ぜんそく)があり,咳(せき)込(こ)みが続き呼吸が苦しくなり,「楽な姿勢にしてほしい」と訴えた。
介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 43 

手首に変形や痛みがみられる関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の利用者が,歩行時に使用する杖(つえ)として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 44

身体機能の変化に応じた食事の提供と対応方法として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

問題 45

いすに座っている右片麻痺(みぎかたまひ)の利用者の食事介護時の留意点として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 46

たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM:Protein Energy Malnutrition)が疑われる状況として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 47

ベッド上で足浴を実施するときの基本的な手順や方法として,適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 48

長期臥床(ちょうきがしょう)している高齢者に,ケリーパッドを使用して行うベッド上での洗髪に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 49

皮膚の乾燥が強くなった高齢者の入浴介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 50

ベッド上で腰上げが可能な高齢者への,差し込み便器による排泄介護(はいせつかいご)の方法として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 51
Cさん(81 歳,女性)は,介護老人保健施設に入所している。腹圧性尿失禁があり,トイレでの排泄(はいせつ)や下着の交換には介護が必要だが,遠慮して下着の交換を申し出ないことがある。食堂で昼食をとっている最中に激しくむせ込んでいたので背中をさすったところ,むせ込みは収まったが失禁をしたらしく,周囲に尿臭が
漂った。
このときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 52

数日前から下痢を繰り返している在宅の高齢者について,訪問介護員(ホームヘルパー)が入手すべき次の情報のうち,最も緊急度の高いものを 1 つ選びなさい。

問題 53

調理環境を清潔に保つための方法として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 54

Dさん(84 歳,女性,要介護 3 )は認知症(dementia)があり,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。ある日,Dさんが,訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒に衣装ケースを開けたところ,防虫剤がなくなっていた。Dさんは,新しいものを補充してほしいと訪問介護員(ホームヘルパー)に依頼したが,防虫剤の種類や名前はわからないという。
この衣装ケースに補充する防虫剤の種類として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 55 

利用者から洗濯を依頼された。以下に示す取扱い表示がある場合,乾燥の方法として,適切なものを 1 つ選びなさい。
第30回介護福祉士国家試験問題55

問題 56

杖歩行(つえほこう)している高齢者の寝室の環境整備に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 57

Eさん(78 歳,女性)は,30 年前に夫を亡くした。 姑(しゅうとめ)の介護を 8 年間一人で行い, 1 年前に自宅で看(み) と取った。隣県に住む息子に促されて介護付有料老人ホームに入居した。入居して間もないEさんは,「何をしてよいかわからない」と日中は部屋で一人で過ごしている。
ホームでの暮らしに戸惑っているEさんへの介護福祉職の対応として,最も適切
なものを 1 つ選びなさい。

問題 58

介護老人福祉施設で最期まで過ごすことを希望する利用者への対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 59

終末期で終日臥床(しゅうじつがしょう)している利用者への便秘予防の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

問題 60

Fさん(80 歳,女性)は,認知症(dementia)で高齢者施設に 10 年間入所していたが,死去した。夫(85 歳)はFさんが入所中,毎日面会して,Fさんと共通の趣味である詩吟を楽しみ,時間を共に過ごしていた。
夫はFさんが亡くなって 1 週間後,施設にお礼に訪れて,「毎日通うのは大変だったが,今は話し相手もいなくなり寂しい。自分で料理をする気もなくなり眠れない」と涙を流しながら話をした。
Fさんの夫に対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。


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